綺麗な文章とは表現技法だけが全てではありません。もっと根本的な所で表記法を矯正するだけでも、ずいぶんと見違える文章になる場合があります。
句点を文の途中で入れない
句点「。」は文末に打つものであることは、常識としてあなたも知っていますね。しかし文が終わっていないのに打ってしまっている人も少なくありません。
※例
×いつでも承ります。を常に心懸けています。 →○いつでも承ります、を常に心懸けています。 もしくは「いつでも承ります」を常に心懸けています。 |
この例だと、引用したセリフを終わらすと云う意味で句点を付けたようです。しかし、文をそのままつづける場合は「」や、を使うべきであり句点を打つべきではありません。次も同じような例です。
※例
×将来は弁護士になりたい。と思った。 →○将来は弁護士になりたい。そう思った。 |
この改善文の場合はどうしても句点を付けて言い切りたい場合に使います。次の文で指示語を入れたので文章として成り立つようになりました。
「」を使ってセリフや考えをくくる
前項でもとりあげた「」の使い方についてです。これは心で感じたことや人が言ったことを「」でくくるととても読みやすくなります。また、直接言われているように感じるのでリアルな印象を与えます。
※例
×私はよく元気がいいねと言われる。 →○私はよく「元気がいいね」と言われる。 ×私は、自分の夢は家庭を持って家を買うことだとよく考える。 →○私は、「自分の夢は家庭を持って家を買うことだ」とよく考える。 ×初めて彼女にあったときこの人だと確信した。 →○初めて彼女にあったとき「この人だ!」と確信した。 |
このように伝えることができます。
※)注意点:カッコで閉じる場合は句点を省略してください。
※例
×「なんてこと言うの。」と母は私の心無い言葉を叱った。 →○「なんてこと言うの」と母は私の心無い言葉を叱った。 |
基本的なことですが意外と知らない人も多いので注意してください。
間違えやすいひらがな
漢字にすると意味が変わってしまう言葉はひらがなで書かなければなりません。よく漢字変換したままの人を見かけますので注意してください。
※例
×人と話すときは良く目を見る。 →○人と話すときはよく目を見る。 |
この場合のよくは「良い、悪い」の意味ではありませんので漢字は使わずひらがなにします。
他にもこんな例があります。
※例
×やって見たら案外簡単だった。 →○やってみたら案外簡単だった。 ×今ご飯を食べている所だ →○今ご飯を食べているところだ |
ここでの「みる」や「ところ」は「目で見る」や「場所」という意味ではないので、ここではひらがなが正解です。
他にも「~もの」や「~こと」も、物質や出来事でない場合は、ひらがなを使うのが自然です。
漢数字を使わなければいけない場合もある
漢数字でなく算数字を用いる文章が多くなってきました。これは横書きだと算数字が原則だからです。
しかし、たとえ算数字を使っている文章でも、漢数字を使わなければならないことがあります。
※例
×人1倍努力しました →○人一倍努力しました |
人一倍という表現は「人二倍」「人三倍」とは言いません。このように漢数字を使う場合は熟語や慣用句の場合です。
その他にも、
・一人旅
・三回忌
・二束三文
・一時しのぎ
などが挙げられます。
これについては掘り下げると非常に深くなってしまうのですが、実用する上では「漢数字は熟語や慣用句のときに使う」と覚えていれば、それで十分だと思います。
まとめ
いかがでしたか?
「気の利いたロマンチックな言い回しをしなくても綺麗な文章を書くことは出来る」
その意味がお分かり頂けたら幸いです。
本当に洗練された文章とは無駄がなく、誤りがない(あるいは非常に少ない)文章を指します。それを身につけるためにセンスは全く必要ありません。最初のうちは時間をかけて慎重に文章を見直すことが何より大切です。