今回はセールスコピーライターにとってのモデリングについてお話していきます。その前に一つ興味深い話を共有しますね。
「過剰なサービスが原因で日本人はどんどん馬鹿になっている」
こんな際どい記事を見かけたことがあります。さすがに馬鹿というのは言い過ぎだろうと感じるのですが、過剰なサービスが消費者の我儘に拍車をかけているのは間違いないと思います。
「お客様は神様です」というのはお店の側の話、「お客様だぞおい!神様だぞ!」という態度の人は神様どころか普通に迷惑な輩ですからね。それ以上でも以下でもない。こういうモンスターを偶然見かけると最悪な気分になります。
さて、それはさておきです。
Contents
セールスコピーの中で過剰サービスしてしまっていませんか?
飲食店では食べ終わった食器は即座に片付けられ、スーパーでは賞味期限が1時間でも切れたものは廃棄され、電車はほんの数分の遅れで謝罪のアナウンスを流す。実に痒い所に手が届くというか、手が届き過ぎているために一周回ってさらにむず痒くなってくるというか。とにかく過保護なこの日本。
この状況が良いのか悪いのかはサービスを受ける人の感覚次第です。ただし、問題は過剰なサービスが「余計なお世話」になってしまう時もあるという理解だけはしておかなくてはなりません。ここではライティングにおけるそんな話をします。
「セールスコピーライティングの基本は小学生でもわかるように書くこと」
このように連呼する人がいますが、それは一体何故でしょうか?
・難しい漢字を使わずに書けば脳が疲れない
・調べなければ意味がわからないような言い回しはスムーズに読みきれない
・元々読むのが嫌いな人にも最後まで読んでもらうため
など、様々な見方ができる訳ですが、セールスコピーライターとして活動していきたいなら、このノウハウは完全無視してしまってOKだと僕は考えています。提供側の過剰なサービス精神はセールスコピーライティングでは往々にして大きな矛盾を生み出すトリガーになるからです。
どういう事かと言いますと、上に挙げた3つの項目は全て読み手が感じる『楽』です。ストレスなく文章を読み進めるためのサービス精神が反映されていると言えます。でも、セールスコピーライティングの基本的なスタンスは代筆。つまり、「その人」になりきる必要のある職業なのです。
現在、ビジネス書の9割がゴーストライターによって執筆されているという噂がありますが(9割かどうかは確かではありませんが、僕の所にもビジネス書のゴーストライティング依頼は頻繁に寄せられています)セールスコピーライティングの代筆案件はゴーストライティングそのもの、当たり前に文体を変えていく必要があります。
ちなみに…
販売者が小学生でも分かるようなセールスコピーライティングを心がけるのは良いと思いますよ…
例えば自分で商品を販売する際に、キャラクターメイクを“小学生でもわかる文章を書く人”に設定するということなら全然良いんです。でも純粋なコピーライターとしてセールスコピーライティングに携わる場合は絶対ダメです。なぜならコピーライターがコピーを書く時はほとんど自分視点での書き方はせず、“誰か”の視点で書くことになるからです。
さて、そんな時に「セールスレターは小学生でも読めるように書く」に従って執筆したらどうなるでしょう?極端な例を挙げれば、
・やたら流暢に日本語で文章を書く、アメリカ人や・・・
・文章レベルが異様に低い有名大学の教授
など普通に考えて有り得ない人物がさも当然のように出来上がり量産されていくことになります。これは著者の人物像を無視してしまう事になる訳で、こんな初歩的なことをやらかしてしまうと「モデリングスキルの欠如したコピーライター」という圧倒的な低評価が下されます。
「本当にこの商品は信じられるのか?」という立ち位置で読んでいる人にとっては、ほんの些細な矛盾がセールスコピーからの出口になってしまうのです。前回の記事の、
⇒【マザーテレサから学ぶ】公開するメリットのないセールスコピーライティングは果たして存在するのか?
でもお伝えしたとおり、セールスコピーライター側の小癪な嘘や言い回しは大半読み手に見透かされています。その事を考えれば、「どんな時も小学生がスラスラ読めるコピーを書くのが大切!」なんてことを提唱する人の理論がどれだけおかしいか分かる筈です。
では、どうすれば著者になり切ってセールスレターを書くことができるようになるか?参考までに僕が常日頃行っているモデリング法を紹介しますね。ポイントは以下の4点です。
セールスコピーライターのモデリング4つの方法
1・メール文章を書きうつす
クライアント=著者の場合、あなたは著者の文体をメールで受け取ることができます。それをただ見るだけではなく書きうつしてみてください。ライティングにも「指癖」があります。無意識下では自分の打ち慣れた文章を打ってしまいますのでクライアントの癖をコピーする意識で取り組みましょう。
2・マニュアルを10ページ、集中して一字一句読む
案件を把握する時は全てに目を通す必要がありますが、それとは別に執筆着手の段階で“はじめにから10ページ”を集中して読んで下さい。大体それ位で文体の特徴は掴めます。考え方は「案件の理解」ではなく「文体の理解」です。それを意識して取り組んでください。脳の使い方が若干異なるのがわかると思います。
3・著者のサイト・メルマガ・ブログの【最新】を書き写す
全てを書き写せればベストですが、時間的にも精神的にも難しいと思いますので、最新の記事だけを書き写してください。メール文章とはまた異なるスタンスでの著者の言い回しが理解できます。
4・著者と同業の人物のサイト・メルマガ・ブログの【最新】を3本書き写す
やり方は上の3と同様です。ただしこちらでは3本書き写してください。著者と同業ということであれば、そういう記事に読み手が目を通している可能性は高いです。この方法で文体の平均値を把握し、バランスをとります。
以上の4点を、セールスコピーを書き始める前に行って下さい。大抵これを実践すると自分の癖が抜け、文体をコピーすることができるようになります。ただある程度の慣れは必要ですので、1日のはじめに自己学習の意味も兼ねて行う癖をつけると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
僕はこの件で結構色んな人と議論を交わしてきました。「小学生でも読めるように書くのが大事なんだ!」という意見を曲げない人も結構居ましたし、この記事を読んでいる人の中でも、そういう意見をお持ちの方はいるかも知れません。
だとすれば、士業のクライアントとかその辺りを一度担当してみるのが一番です。怒られながら学ぶと吸収効率も最高ですし(笑)
と言う訳でご参考になさってください。では今回はこの辺で!