論理的な文章を書くために「上手に主張すること」は重要です。執筆の目的が情報発信であればしっかりとした主張のある内容でロジカルにまとめられていなければ読者は読み進めてくれません。そこであまり光を当てられることの少ないこの問題ですが、小手先のライティングテクニックより何倍も重要なので今回は掘り下げてみようと思います。
論理的な文章に必須な「主張」とは何なのか?
簡単に言えば「読者に自分は何を伝えるのか?」ということで、主義の提示です。
例えば、
プライベートを充実させるためには、仕事から気持ちを切り替える必要がある
では主張や発見になっていません。メッセージではなく新しい発見もないからです。
これに対して、
仕事から気持ちを切り替えるには、仕事用の携帯電話を持ってそれをOFFにする
という文章なら主張として成立しています。
この場合だと、明確な主張となって命題を示しているからです。
このように主張を掲げることは「仮説の提示」とも言えます。論述として成立するかどうかはこの主張をきちんと提示できたかどうかで決まってしまうといっていいでしょう。
論述ではないエッセイや宣伝などの場合は確かに論文ほどメッセージ性を求められることはないかもしれません。しかし、それでも文章として成功できるかどうかの大半はこの主張するメッセージ性の内容に帰着していきます。
主張はひとことで言えるように
メッセージとして主張や発見のある文章になるかどうかには「2つの条件」があります。
まずは「ひとことで言うことができる」というのが第一条件です。
この判断基準は形式的なもので内容を示していないように見えるかもしれません。しかし、このひとことで言えるというのはとても重要な条件なのです。演説やスピーチをしていても、その話が終わってから、
「それで、この人は要するに何が言いたかったのだろう?一言でいえば何だろう?」
とよく内容が分からなかった経験があなたにもあるでしょう。これはそのメッセージが要領を得て伝えられていないものだったからです。
どんなに長い論文や後述でも一言で言えなければ、伝えるべき主張や発見がぶれていることになります。
では第二条件は何でしょうか。
これは「書きたい」と突き動かされているものがあるか、です。
このような主張は得てして「一言でいう」ことができます。また、これは必ずしも実践的である必要はありません。
例えば、休日に散歩していて「鳥もおしゃべりする」とその日に発見したとします。これを「どうしても書きたい」と思ったのなら、それは主張として 書くに値するメッセージとなります。誰もが言い古した主張はこのような気持ちにはならないものです。
どうすれば主張を見つけられるのか?
すでに「書きたくて仕方がないこと」があれば、それを書いていけばいいのですが、なかなかそうでない場合が多いのも事実です。
「何を書くか」と共に「どのような形で文章にしていくか」と悩む場合もあるでしょう。こういった場合はどうやって主張、発見を見つけ、メッセージを定めることができるのでしょうか。
根性論のようになってしまいますが、とにかく「考え抜く」ということです。
「そんなことは分かっている。考えても湧いてこないから困っている」 と思うかもしれません。
しかしニュートンが「リンゴが木から落ちる現象」から万有引力を発見したのも、誰よりも考え抜いたからこそ、その現象と万有引力を結び付けることができたのです。
SF小説家として大きな成功を収めたアイザック・アシモフは「どうやってアイディアを出すか?」と質問されてこう答えています。
「考えて考えて、窓から飛び出したくなるほど考え抜く以外にない」 「へこたれることなく、どれくらい長く持続的に考え続けられるかだ」
考えることの重要性を如実に示す言葉です。
まとめ
いかがでしたか?
メッセージの見つけ方自体は、
■書いて考える
■人に話してメッセージをみつける
など様々な方法論はあります。しかしここではあえて原点に返り「考えることから逃げない」ことの大切さをお伝えしました。 以上参考にして頂ければ幸いです。