今回は社会人の為のビジネス文章について取り上げていきたいと思います。
早速ですが、社会人の文章における基本中の基本。
これが出来てないと速効でアウト!というものを一つだけ挙げるとすれば、それは間違いなく「敬語の使い方」になるでしょう。どれだけビジネス文書のフォーマットが頭に叩き込まれていても、敬語を上手く使えなければ宝の持ち腐れです。
Contents
敬語の正しい使い方って?
「目上の人に敬語を使って失礼のないメールを送らなければならない」そんな時に困るのが、本当に正しい敬語を使えているのかどうか?です。あまりにも過剰に敬語であることを意識しすぎると二重敬語という状態になり、相手をおちょくっているように見えたり、逆に頭の悪そうな文章になってしまったりします。
二重敬語になる落とし穴
ご覧になられる」(ご覧になる+られる)のように敬語が重なってしまうことを二重敬語と言います。日本は歴史的に、主従関係を重んじて階級の高い人へ敬語がより強く使われて来たので間違いと言うわけではありません。
しかし、現代で天皇などに対して用いるわけでもなく、二重敬語を使ってしまうのは、少しくどい印象を持たれてしまいます。前ページで受け身表現として紹介した「~れる」「~られる」は尊敬の意味もあります。これらを使うときには十分注意してください。
例)
「何を召し上がられますか?」→「何を召し上がりますか?」 「どうぞ、お聞きになられてください」→「どうぞ、お聞きになってください」 「こうおっしゃられましたね」→「こうおっしゃりましたね」 |
これ以外にも敬語として使われている単語で、「お」や「ご」を付けても二重敬語になります。
例えばこんな感じです。
例)
「お伺いします」→「伺う」自体が敬語ですので「お」はいりません。 |
「~れる」「~られる」などの二重敬語と同様に注意して下さい。
敬語の区別できていますか?
敬語の間違いで最も多いのが尊敬語と謙譲語の混同です。
・尊敬語・・・相手の立場を上げるための敬語
・謙譲語・・・自分の対場を下げてへりくだる敬語
簡単な例を挙げてみましょう。
「参られるようでしたら、ご連絡ください」
さて、あなたはこの文章のどこがおかしいか気がつきましたか? 答えは、謙譲語の「参る」を相手の動作に使っているのです。
たとえ、尊敬語の「れる」を付けたとしても、相手をへりくだらせているのは変わりません。
×「社長、ご苦労様でした」 →○「社長、お疲れ様でした」
×「ご拝聴ください」 →○「ご覧になってください」 ×「遠慮なくいただいて下さい」 →○「遠慮なく召し上がってください」 |
時として使う敬語が尊敬語か謙譲語か迷う時があると思います。そんな局面でとっさに判断するシンプルな方法があります。
その動作は誰が行うのか?
これを意識すればへりくだる謙譲語を使うべきか、持ち上げる尊敬語を使うのかがハッキリと分かります。困った時は是非これで判断してみて下さい。
ビジネス文書ってどうやって書けばいいの?
文章を書く事になれていないうちは「何を」「どう書く」に意識が集中するあまり、書く目的をしっかり定めないまま書き出してしまうことは往々にしてあります。その場合、何を伝えたいのかがぼやけたわかりずらい文章になってしまいがちです。
そこで「文章で伝える」という点にフォーカスしてみましょう。
どうすれば伝わる文章になるのか?
その答えは意外にも文章そのものではなく、書く人間の目的意識にあるのです。
こちらをご覧下さい。
伝わらない見本例)出張報告書
1)出張理由
2)出張先 3)出張期間 4)出張内容 5)所感「○○は必要があるようです」 |
「何で出張報告書?」という感じですが実際、何でも構いません。極端な話ビジネス文書でなくてもOKです。なぜなら上記は単に、「何のために書いているのかわからない状態」になっているという見本だからです。
出張報告書で最も大事なのは、所感を伝えることでしょうか?
違いますよね。
会社や上司はその出張報告から「我が社(課)はどうすればいいのか」を知りたいはずです。“伝えること”を第一に考えるならば、文章を書く前に「何のための文章か」、しっかりと定めることで文章の結論が決まります。その目的意識を持っていれば、結論は「所感」ではなく【提案】や【要望】で締めるべきとなる訳です。
文章は「相手が求めているもの」をしっかりと把握した上で書く必要があります。このように、目的意識をはっきりさせることで、上司や顧客などの期待にこたえる結論ができるようになり、評価アップにつながっていきます。
さらに、
・読み手にどんな行動をしてほしいのか?
・読み手にどんな印象をもってもらいたいのか?
これを意識すると、より目的を定めやすくなるでしょう。どう目的を定めていいか困った時はこれを意識してください。
読み手の疑問は想像して先回りする
文章を書く目的をハッキリさせたら、次はその文章で読み手が知りたいことは何かを想像してください。あらかじめ想像力を働かせることで様々な想定ができるようになり、読み手の立場に立った考え方ができるようになっていきます。
具体的にはどういったことを考えればいいのか?こちらも例をあげてご説明しますね。
例えば忘年会について書く場合
・当日の連絡先は?
・参加締め切りの日付は? ・参加するには誰に申し込めばいい? ・費用はいつどうやって払えばいい? ・取引先など社外の人間も来るのか? ・人数はどの程度なのか? ・お酒はどんなものになるのか? ・割り勘なのか? ・地図はあるのか? ・終了予定時間は? ・二次会はあるのか? ・駅から徒歩何分か? |
など、その時のケースに合わせ読み手から出てくるであろう疑問点をあらかじめ考えておくのです。こうすることで、読み手が途中でつっかかることなくスムーズに伝わる文章が書けるようになっていきます。自分の立場だけで書いていくと、抜けてしまう疑問点が出てくるので十分に注意してください。
また、Q&A方式をとりいれるのも効果的です。
そうすれば読み手は、自分が知りたい情報や答えを迷わずに知ることができます。
書いた文章は惜しまず削る
相手の知りたいことをピックアップし、自分が伝えたいことも書き終えたら次の3つに分類してみて下さい。
- ・必ず書かなければならないこと
- ・できれば書いたほうがいいこと
- ・書かなくても伝わること
この作業をすることで、何を一番伝えたいのかもハッキリしていきます。文章によって不足なく説明することも大切ですが、重要でないことまで事細かに文章にしていってしまうと、本当に伝えたいことが強く伝わらないようになってしまいます。
項目を分類する判断基準については、
- ・文章の目的を考えた上で必要かどうか
- ・読み手にとって必要かどうか
を意識して選んでみて下さい。
「自分が書きたい」よりも「読み手が知りたい」方を優先することでより伝わる文章になっていくはずです。
まとめ
いかがでしたか?
文章で伝えるというのをとても難しく敷居の高いことのように感じている方が大勢います。しかし、その人達の多くは文章に問題があるのではなく、「実際に何を伝えるべきなのか?」根本的な所が自分自身曖昧だから困難に感じているのです。
当たり前の話です。自分達が伝えるべき事を知らず、相手に伝えられる筈がありませんよね。
もしもあなたが「伝わる文章」を身につけたいと思っているのなら、まず「何を伝えたいのか?」PCの前に座りタイピングを始める前にしっかり思考を整理することです。それだけで一気に文章が良くなるケースも少なくありません。是非参考にして下さい。