前回、見る者の心に響く秀逸なキャッチコピーの書き方を書きましたが、これだけではさすがにちょっと説明不足な面が否めないのでキャッチコピーの考え方、作り方に関する追加コンテンツを書きます。
キャッチコピーと一口に言ってもどういう趣旨のものかでだいぶ考え方が変わりますので、ここでは「商品広告のキャッチコピー」に限定してお話しますね。
Contents
商品広告のキャッチコピーとは?
商品広告のキャッチコピーは、「そうだ、京都行こう」のようなイメージを掻き立てる系の作り方はしません。商品をふまえてコピーを想起しなければならないので、そこら辺をま説明していきます。商品をふまえてコピーを書くことは、アフィリエイトなどのさまざまな広告に大いに結びつくことになります。
分かりやすいように、今回は作例をベースに語っていきます。「選択する力」「判断する力」を磨くと同時に自分ならどうするか発想しインスピレーションを鍛えて頂ければと思います。では、さっそく内容を見ていきましょう。
1. ステンレスの流し台のキャッチコピー
形状や機能などさまざまな切り口がありますが、今回は「ステンレス」についてフォーカスしていきましょう。そしてこれから続く例を読む前に、自分でも考えてみて下さい。
◆いつでも、キラキラ ◆つるつる、キラキラ、笑顔満点 ◆キラキラな毎日 ◆どこまでも、きれいであれ ◆頑丈で美しい。理想の奥さん ◆彼氏もきれいという、私と流し台 ◆これで使いやすくなるね、お母さん ◆キッチンがお母さんの拠点になりました ◆君の笑い顔を思いながら、作りました ◆私の朝は、この場所からスタートする ◆姑も笑顔になりました |
実に様々な案がありますね。では、まず「商品を把握すること」について解説していきます。頭に浮かんでいる内容をきちんと整えてから書いていきましょう。
◎ステンレスの流し台・・・基本情報 ○光沢がある→サビつかない・・・性能情報 ○頑丈→壊れづらい ○ガッチリしている ○酸性のものにも強い ○キレイ |
◎メンテナンスが簡単・・・活用情報 ○こぎれい ○清潔好きと思われる |
○長く使える・・・文化情報 ○リサイクルも可能 |
ここでは「情報」というキーワードをつかって4つに分類してみました。すると、考えてみたのがどれに当てはまるのかが分かります。例えば、
◆いつでも、キラキラ
という案。
これはステンレスという性能だけを言及していますね。
例えば、
◆姑も笑顔になりました
という案では、ステンレスの性能を踏まえて、そこから周りの反応がどうなったか文化的情報を語っていますね。
つまり、
「自分は何について追求してどの情報で発信したいのか」
それが大切になってきます。
さらに“誰を”想定して語りかけているのかというターゲットも重要です。また、“誰が”語りかけているかということも注意してください。奥様の言葉か、子供の言葉か、ご主人の言葉か…。いろいろな人の立場で書くことができます。
2. 屋根がついたスクーターのキャッチコピー
とても明快な商品です。スクーターに屋根がついたという点がはっきりしています。では、作例をみていきましょう。
◆天候オールマイティ型バイク ◆雨でも風でもどんとこい ◆雨が降るのは年間100日。だから屋根付きスクーター ◆家から職場まで屋根がある ◆バイクがあなたの傘になります |
では、「ステンレスの流し台」のように商品把握をしていきましょう。
◎屋根付きスクーター・・・基本情報 ○屋根が付いているがドアはない。 ○ワイパーがついている ○排気量50cc |
◎雨でも濡れない・・・活用情報 ○レインコートは不要 ○狭い路地、混雑した道路でも大丈夫 |
今回は、批判や疑問から始めてみましょう。
例えば、
◆天候オールマイティ型バイク
という案。風あったらダメなの?という人もいるでしょう。
例えば、
◆雨が降るのは年間100日。だから屋根付きスクーター
という案は、250日は雨が降らないじゃないかと言う人もいるでしょう。では、どうしてこのような案を考えてしまうのでしょうか。
○いわゆる~の発想 ○つまりは~の発想 ○例をあげれば~の発想 ○なので~の発想 |
という形で説明できます。
屋根つきだから、
◆雨でも風でもどんとこい
なのです。
スクーターだから
◆家から職場まで屋根がある
のです。
考えは四方八方に行っているのがお分かりになると思います。これだけでも、キャッチコピーがどれほど難しいかが分かります。大切なのは的を外さないことです。いくら飛距離を伸ばしても、野球で言うならファール、ゴルフで言うならOBということになってしまっては意味がありません。
高度な選択力を持っていなければならなりません。このように基本は大切です。
3. 印刷文字を拡大した新聞のキャッチコピー
2000年の読売新聞に始まり朝日、毎日、産経なども印刷する文字を拡大しました。これは50年ぶりのことだったそうです。では、単純に文字が大きくなったことについて追求していきましょう。
◎文字が拡大した新聞・・・基本情報 ○読みやすい・・・性能情報 ○早く読める ○眼を疲労させない |
◎世間がよくわかる・・・活用情報 ○眼鏡がいらない ○外出中も読みやすい ○若いころのように読める |
◎情報として・・・社会情報 |
このように整理できるでしょう。では、作例をみていきましょう。
◎文字が拡大した新聞 「文字が巨人」 「新聞『大』変革」 |
○読みやすい 「よみやすさは、理解しやすさ」 「文字でも社説でも読みやすい新聞」 「先が読めない時代は読みやすい新聞で」 |
○早く読める 「サクサク読める。ぐんぐんわかる」 「多忙なあなたへ、文字の大きな新聞」 |
○眼が疲労しない 「眼にいい「ビッグ」ニュース」 「眼にきくルテインと文字の大きな新聞」 |
○外出中でも読みやすい 「電車でもよく読める」 「ゆれる乗り物でも、もう大丈夫」 |
○世間がよく分かる 「政治や経済、なんでもハッキリ」 「もう怖い顔して読まなくていいんだ」 「眼鏡のいらない朝」 |
○情報として 「世の中を大きく把握」 「事実を大きくお伝えします」 |
などなど挙げられます。ではなぜこんな案が上がってくるのか、考えていきましょう。
◎文字が拡大した新聞 ⇒いわゆる~の発想 から ◆文字が巨人 ⇒つまりは~の発想 から ◆新聞「大」変革 |
◎文字が読みやすくなった新聞 ⇒だから~よみやすい、だから~眼にやさしい |
のように、発想を膨らましていくことによって、読む人の気持ちをくすぐることができます。この課題は少し難しかったかもしれません。しかし、
◇ターゲットは誰か?
◇どんなメディアか?
◇新聞のスペースはどの程度か?
◇電車での広告だったら?
◇CMにするなら?
などをきちんと把握してから考えたいものです。そうなると、奇をてらったフレーズより直球のフレーズの方が正しい場合がよくあります。伝えることはしっかりと伝えることも大事です。
キャッチコピーのアピールとターゲット
では次にキャッチコピーのアピール&ターゲットポイントについてお話します。商品のどのポイントを言及すれば、読者は心を動かし、その商品に注視し購入してくれるのか。“そのポイント”を探し、決定し、コピーを考えることが広告を作る上で、とても大切なことになっていきます。
さらにそのアピールポイントは複数あるかもしれないし、商品だけの特徴と限らない場合もあるでしょう。その時ほど“何をアピールするのか”をよく考えることが大切です。「何を」の次に「誰を」というターゲットについて解説します。「誰を」とは新聞なら読者でテレビCMなら視聴者ですね。これらは当然ながら何を伝えるかによっても変わっていきます。男か女か、歳はいくつか、ライフスタイルはどうか、地域はどうか…。また性格でも、几帳面な人かおおらかな人なのかと実にさまざまあります。
ターゲット=その商品の購入者でありながら、使用者ではないということもあるので注意して考えていってください。お中元やお歳暮などがその例に当てはまるでしょう。
プロダクト・ライフサイクルに注意する
商品にもライフサイクルがあります。プロダクト・ライフサイクルとは、市場に導入されて、普及していき、飽和して別の商品に移る一連の過程のことです。キャッチコピーを書く上でもどの段階にあるかを考えておく必要があります。
・1 導入期
・2 成長期
・3 競争期
・4 成熟期
・5 衰退期
導入期では、これまでになかった商品の特徴やブランド名を、成長期や競争期では競合他社も存在し、その中で自分が紹介する商品が他とどう違うかを説明します。成熟期では、ある程度余裕のある表現も必要になっていきます。衰退期は特典もつけたセールなどの告知も多くなっていきます。このように扱う商品がどのサイクルにあるかにも意識をむけて行ってください。
まとめ
いかがでしたか?
キャッチコピーは商品によって様々な考え方があるという事がお分かり頂けたのではないかと思います。
是非、参考にして頂ければ幸いです。