とても文章は上手いし綺麗、国語の先生に見せても及第点をもらえるレベルのコピーライターは世の中にたくさんいますが、そういうコピーライターが書いた文章でさえどこか無機質で感情が伝わってこない場合があります。
「とにかく無機質な印象がある」そんな執筆しているコピーライターの存在が感じられないページをあなたも目にした事があるのではないでしょうか。
もちろん無機質的に生み出された文章も意味がない訳ではありません。
例えばタイトルと価格、簡単な説明のみで十分な商品もあります。そういう商品に書き手の存在感や情熱といった要素は基本不要です。あなたが液晶TVを買う時に開発背景や開発者の熱意によって購買意欲が後押しされますか?
普通はあまりこだわらないポイントだと思います。
しかし、特にネット上でセールスをする場合のセールスライティングとなるとそういう訳にもいかないのです。例えば商品内容が情報である場合、購入しなければ中身を確認する事は出来ません。そんな性質を持つ商品がインターネットビジネスの市場にはいっぱいあります。
その時何よりも重要になってくるのが顧客と販売者の信頼関係、セールスレターで言えば読み手と執筆者の信頼関係です。ではそのタイミングで無機質なライティングに信頼が寄せられるでしょうか?そんな筈はないですよね。
商品のクオリティや保証だけでなく執筆者の誠意や商品に対しての思いを込めたライティングがイコール信頼関係を構築する素材になります。つまりコピーライターであるあなたがどのような人物でどのような物の捉え方をしているのか?それを少なからず読者に伝えなければならないということです。
ここで注意すべきは、主張気味に執筆者自身を押し出すことはNGです。
人物そのものの主張の裏には「自分を理解してほしい」という願望があります。
信頼関係が成り立っている上での主張であれば、読者もそれを受け入れるかも知れません。ただ、このタイミングでは信頼関係を成り立たせるため、という前提がありますので、自分をダイレクトに主張する文章は有効に働かないことを覚えておいてください。
ではどのように執筆者の理念や情熱を伝えればいいのか?
その前になぜこのタイミングでこのようなお話をしたのか?
もうおわかりですよね?
理念や情熱を伝えるためにも主観と客観は重要
そう。くどいようですがここも「主観」と「客観」が深く関わっています。
※主観と客観について、以下の記事をお読みになっていない場合は先に目を通しておいて下さい。
>「主観と客観の違いって?」ライターなら覚えておきたい「文章」における視点の切り替え方について
どうしても自分と言う人物を理解してもらいたい。
具体的に自分が誠実であることをわかってもらいたい。
そう言う時に「自分はとても誠実です」という文章を書くほどセンスのない人はなかなかいないとは思いますが、少なからず主観的な執筆に終始している人は多いと思います。
例えば、
「“この商品”を買うと“これらのメリット”が全て手に入る」
それが嘘でないことを裏付ける為には、あなたが正直であることを“事実”にしなくてはなりません。
その場合、
「私は嘘が嫌いです。あなたには本当のことしか話していません」
こう書くのは正解でしょうか?
いえ、違いますよね。上記の文章は完全に主観です。
信じるも信じないも人それぞれ。むしろ信じられる要素のない段階では読み手にそれを求める事自体がお門違いです。
しかし、
「正直にお話すると、これまで返金請求やクレームが2件だけありました。しかしどちらも商品品質に関するものではなく、お電話での対応にてご理解頂けました」
弱みとなる部分が“事実”としてあり、それを隠すことなく打ち明けていること。それによって商品品質に関するクレームではなかったという事実のフォロー。そしてトラブルに対しての誠実な姿勢の3点を主張することなく伝えられる一文です。
これ以上に深読みする読み手もいないことはありませんが、ごく少数です。
主観と客観の切り替えの例
ここまで主観と客観についてかなりスペースを使って説明してきたのは、それほどこの二つの視点は「文章を書く」という作業において重要だと考えて頂きたいからです。月額3000円の商品を、「1日缶コーヒー1本以下!」と表現しているのを見たことはありませんか?
これも「一日100円未満の低価格!」という主観ではなく、「100円以下は缶コーヒーよりも安い」という客観を用いた手法ですね。
この手法は価格だけでなく時間でも使えます。
例えば時間とタバコをリンクさせたとします。
30分~1時間を表現するなら・・・
「○本目のタバコに火をつけた」
場が始まってすぐの行動を表現するなら・・・
「火をつけたばかりのタバコを・・・」
などになります。
「なんと○○日で!」や「たった○○カ月で!」というフレーズはあなたも目にしたことがありますよね?大きく見出しで数字を打ち出す分には有効ですが、本文で何度もその数字を押しすぎると返って嘘くさくなってくる場合があります。
そういう時にこれらの行動を使って時間を描写してみてください。
言いたいことを頭の中、もしくはメモ帳に主観的に切りだしたとしても、その内容が反発を呼びそうな時は、客観的な加工を施せば多くの場合スムーズになります。
特に今回の項である“情熱や理念”など、文章内容の距離が執筆者に近づけば近づくほど、主観を客観へ変換するライティングが重要になるでしょう。
ここまでを通して全てご理解頂けたら、一度“あなた”と言う人物を自分なりに文章にしてみて下さい。そしてその際、できるだけ読み手に疑念を抱かせないように注意してみてください。
少なからず「ひとりよがりの文章」からは脱却できているはずです。
まとめ
いかがでしたか?
自分の理念や情熱といった感情的な部分でも”ただ直球で気持ちをぶつけるだけ”ではプロとは言えません。
がむしゃらさに心を打たれる人も居るでしょうし、打算とは無縁の姿勢に好感を抱かれるケースもあるかもしれませんが、
セールスライティングを生業とするのであれば、今回の記事のように主観と客観を意識して書いていく必要があります。
是非参考にして頂ければ幸いです。