セールスライティングにおいて最も重要な文章の書き進め方ですが、文章に説得力が出るか、信頼が生まれるか、この商品を買わないと駄目だと思わせられるか、全てにおいて関わってくるのが主観と客観のバランスだと言えます。
まずは主観と客観の違いについてご説明しますね。
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主観と客観の違いとは?
主観と言うのは、個人の物事の受け取り方や物事に対しての感情など、その人その人によって判断基準に違いが生まれる観点のことを言います。
主観のみで構成された文章の代表例として感想文を想像して頂ければわかりやすいと思います。
対して客観は、誰が見ても同じである事実、現実のことです。
例えば天候など、雨が降っている場合に「晴れている」という人はいません。
つまり「雨が降っている」これは客観です。
しかし客観に対しては曖昧な部分もあります。
入浴の際、湯船に43度のお湯が張ってあったとして、それを熱いと感じるか、丁度良いと感じるか、温いと感じるか、それは人それぞれになってきますよね。
にも関わらず…
「43度のお湯が熱すぎるのは当然だ!だから客観だ!」
これがセールスライティングでは良く見受けられます。
当たり前ではないこと、もしくは見る人によっては異質な様を当然のこととして展開してしまうと、「自分の求めているものとは違う」という読み手感情を呼び起こしてしまう事になるのです。
つまり主観と客観は明確な区切りがあるのではなく、グラデーションのように移動していくものだと考えてみて下さい。
主観を白、客観を黒とすれば、事実という裏付けを要所に挟みつつ、書き手独自の主張を伝えなければならないセールスライティングは基本的にグレーの位置から文章を発信するのが理想的です。
ではここで少しトレーニングしてみましょう。
これは主観でしょうか?それとも客観?
◆ 私は男である ◆ ビジネスとプライベートではプライベートの方を重視している ◆ あの人はとてもしっかりした人で信頼できる ◆ 友人が公務員試験に受かった ◆ プロ野球選手はとても足が速い |
いかがでしょうか?
では解答していきましょう。
主観客観テスト回答
「私は男である」 「友人が公務員試験に受かった」 |
これらが客観になります。
上の二つはあくまで事実なので受け取り方が1つしかありません。
「ビジネスとプライベートではプライベートの方を重視している」 「あの人はとてもしっかりした人で信頼できる」 「プロ野球選手はとても足が速い」 |
逆にこれらは主観となります。
プライベートを重視している人もいればビジネス命の人も世の中にはたくさんいます。
「しっかりした人」というのも人によって判断基準が異なります。
例えば遅刻・無断欠勤をしない、ということを「しっかりしている」と感じる人もいれば「当たり前のこと」だと感じる人もいますよね?
「プロ野球選手はとても足が速い」も同様のことが言えます。
一般人視点では足が速いかも知れませんが、陸上競技の短距離走の選手から見れば「いや、自分の方が速い」という話になります。
セールスライティングにおける主観と客観
さて、主観と客観の違いについてはご理解頂けたと思いますので、セールスライティングでこの主観と客観をどう取り入れていくかについてお話していきましょう。
まず、ここで知っておいて頂きたいのはバランス比率です。
主観、客観どちらも取り入れる必要があるということはお話しましたが、
セールスライティングにおいて理想的な比率は客観7:主観3
です。 もし主観の比率が多くなればなるほど、「自分としてこの商品は素晴らしい」というニュアンスは増加していきます。
それはそれで良い時もありますが、どうしても裏付けに欠けてしまう場合も比例して多くなります。
逆に客観が大半を占めてしまうと商品の魅力を伝えきれず、どこにでもある普通の商品やサービスだと捉えられてしまうでしょう。
では客観7:主観3のバランスはどのように成り立たせるのか?
それはセールス文章の各パーツの展開で決まります。
パーツの初めから終わりまで全て主観で展開するのではなく、語り始めに客観の主題を置いてみてください。
わかりやすい例として、
「誰もがそう感じていると思いますが・・・」
などの客観を呼び込むフレーズから始めると、最初のうちは楽だと思います。また、パーツごとに役割を振る方法もあります。例えば商品の保証関係などは誰が見ても事実なので客観ですよね。
「このパーツは主観を押し出し、ここで客観で裏付ける」
などの役割を決める場合は、サブキャッチのみ最初に書き出すとスムーズに進みます。
このように書きはじめる前にシナリオを想定し、バランスを調整してから書きはじめると大きくブレることはありません。
ストーリーに主観と客観を盛り込むテクニック
今やセールスレター等のセールスライティングにストーリーを導入するのは当たり前のようになってきました。実際はタブーなお話なのかも知れませんが、このセールスレターのストーリー、実際の出来事の場合もありますが創作を交えたものが非常に多いです。
あまりに現実的で面白みにかける場合、最も重要な事実の部分を歪ませない範囲で脚色を加える場合があります。
そして、そのようなストーリーをリアルに構築する作業はインターネット上のコピーライターに留まらず、あらゆるライティングシーンで必須とされます。
逆に言うと、ここをハイレベルに仕上げられないコピーライターは言葉に説得力を載せることができず、単なる夢を語るだけの現実味のない文章を量産することになるでしょう。
もちろん小説のような強烈かつ鮮明な描写は必要ありません。読者を楽しませるために、想像力をサポートしなくても良いからです。実はセールス文章におけるストーリー構築は小説などのライティングと並べると比較にならないほど簡単なのです。
しかし、そうは言っても一筋縄ではいかないだろう…そんな風に思う所があるかも知れません。
「自分で自分の書いたストーリーを嘘くさく感じる」
「こんな上手い話自分でも有り得ないと思う」
そう思ってしまうのは何故か?
実はこの理由は、
ストーリー内における主観と客観のバランス
によるものです。
その前に予め言っておきますが、現実的に考えて“不可能”なタイトルでストーリーを考えると、どれだけ主観と客観のバランスを整えても嘘くささは拭えません。
例えば「アメリカの大統領と親友になれた理由」などの“架空のストーリー”は大統領と握手をしている写真がない限りリアリティが生まれないということですね。
ではストーリー内の主観と客観を使い分けるにはどうすればいいのか?
それは“心理描写”と“情景描写”が肝になります。
ストーリー内の主観と客観コントロールは「心理描写+情景描写」が肝!
これらを独立したものとして扱い、上手くミックスさせる事で現実味が出てきます。
逆に心理描写に客観を無理やり盛り込んだり、情景描写で不要な主観を付け加える事で回りくどく嘘くさいストーリーになってしまう訳です。
この心理描写と情景描写について詳しく説明していきましょう。
「私が住んでいるのは北海道の札幌市です」 |
これは情景描写です。
これを、
「私が住んでいるのは北海道の札幌市という日本一素晴らしい都市です」 |
明らかに不要な一言が付け加えられていますよね。
無駄にストーリーが長くなり、押し付け感が強くなり、反対意見も頻発し、「嘘をついているから説明過多になっているんじゃないの?」という疑惑さえ生まれます。
「私は札幌市がとても好きです。しかし雪が降り始める季節になるといつも温かい土地に引っ越したくなる気持ちが強まります」 |
これが心理描写です。
これを、
「私だけでなく皆が札幌市をとても愛しています。しかし雪が降り始める季節になると誰もが温かい土地に引っ越したくなります。」 |
かなり極端で強引ですが、客観を無理やり盛り込むことによって人によっては不愉快な文章、もしくは説得力のない文章になってしまいます。
この心理描写と情景描写をそれぞれはっきりと分けること。
具体的に言えば、一文、もしくは句読点ではっきりと区別してストーリーを構成することが基本的なリアリティを生み出すコツになります。「でも、これだと淡々とした文章になって読んでいてつまらないと思うんだけど…」
もちろん、その通りです。
ここまではベースとなるストーリーの主観、客観の扱い方についてご説明しました。
では次のステップとして心理描写の“上に”客観を重ねる方法をお伝えしていきます。
先ほどの、
「私は札幌市がとても好きです。しかし雪が降り始める季節になるといつも温かい土地に引っ越したくなる気持ちが強まります。」
ここに言葉を付け足すことによって文章に違和感が発生していましたね。
しかし“動作”や“流れ”を組み込むとどうなるでしょう?今回は要素としてアンケートを盛り込みます。
「私は“住みたい街のナンバーワン”に選ばれた事のある札幌市が大好きです。しかし冬のアンケートでは結果が少し異なるようです。その理由は何となくわかります。」 |
こうする事によって押し付けの要素を発生させずに客観を取り入れることができます。ちなみに情景描写に主観を取り入れる必要はありません。
あくまでセールス文章における情景描写はシチュエーションを伝える役割のみです。これらの技術を使ってストーリーを構築する場合の手順は、このように進めてみてください。
客観に頼り過ぎると損をする
例えば、
「あの人はこう言っていたから・・・」
「かの有名な○○はこのように・・・」
というニュアンスの書き方ですね。
これは使い方如何で大きな説得力を生みます。
ただそれは、
「この主張をしているのは自分だけではない、こんなに凄い人も同じことを言っている」
という構図が成立した場合です。
この時、重要なのは「自分の主張」がどれだけしっかりしているかに左右されると考えて下さい。
客観的意見はマイナスからプラスに押し上げる役割は果たしません。あくまでプラス効果を増長する役割を担います。
もしも読み手が半信半疑の“半疑”の方が強い状態で客観的意見に頼ると働く意識は2つ、
「この執筆者自体は大した事ないんじゃないか?」
もしくは「この客観的意見も信用できない」です。
読者はあなたからのメッセージを読む為に、そのページを開いているのです。
そのあなたからのメッセージに「こんな凄い人はこんな事を言っている」とあったとしたらどうでしょう?
もしその人があなたの同業他社に当たるのであれば、その権威者の話を聞きに行きますよね?
このように自らの首を絞める結果に繋がるのは明白です。また、なぜあなたのセールスページから読者が商品を買うのか?それは“あなたが”セールスページで商品の特別性を伝えきれているからと考えることができます。
どこにでもある商品であれば、敢えてあなたのページで買う必要はありません。
しかし、「ここでしか手に入らない!」信頼を勝ち取り、それを伝えることができたからこそ商品は飛ぶように売れていくのです。
にも関わらず「この人も同じ主張をしている」という類のフレーズは自分の書いたセールスライティングの中で他社の売り込みをしているようなもの。デメリットとして働く可能性も否めないのです。
つまり、「あの人は言っていた」という内容をセールスライティングで盛り込むのは構わないのですが、あくまで飛び道具的な範囲の使い方に留めておく必要があるということ。
なぜこういうお話をするのかと言うと「客観視点が足りない」という場合、多くのライターはこの客観的意見に頼りがちになってしまう場合が多いからです。
推敲をして何が悪いかわからないが全体的にどことなく説得力がない。その場合の大半が主観で「押せ押せ」のレターになっており客観視点、つまり事実を交えた説明が少なすぎるという所に理由が集まっています。
しかし客観的意見というのは結局「第三者の主観」な訳で、どれだけその声の主が権威だとしても客観のポイントを埋める完璧な素材にはなり得ないのですね。
だからこそ、セールスライティングで言えば「ユーザーから寄せられた感想」や「権威の声」として通常は扱われる訳です。これらは決して本文の流れに組み込むのではなく、パーツ枠に囲って、「自分以外にもこういう声が集まっている」というイメージを植え付けます。
そうしなければ“執筆者が主張の裏付けを外に頼っている”という印象を形成してしまうからです。
「客観」と「客観的」は違う
また、客観と客観“的”は似て非なるものであることは必ず覚えておいて下さい。
情報を発信する者として、その資質が問われるのはあくまで「自分の言葉」です。
インプットした内容をそのままアウトプットするような、ただのパイプに誰も用事はありません。あくまで知り得た知識は消化して独自のものにする。このスタンスを持つ事が重要です。
まとめますと、セールスレターの執筆者観点は2種類しかありません。 再三申し上げているとおり“主観”と“客観”です。その2つの文章を執筆するスキルがコピーライティングです。
ですから、セールスレターを全て書き上げて、
「説得力がない」⇒この場合は客観視点の強化が必要 「商品の押しが弱い」⇒この場合は主観視点の強化が必要 |
このように“視点”にフォーカスして足りない要素を探り出してみて下さい。
全てにおいて上記に当てはまる訳ではありませんが、大抵はこの作業で問題が解決します。
まとめ
いかがでしたか? 独りよがりの文章になってしまう場合は、大体が視点の切り替えを意識していない事が原因にあります。
自分の文章は主観の成分が強すぎないか?
客観視出来ているか?
をチェックすると、驚くほどあっさり文章の弱点が克服出来たる事があります。
是非試してみて下さいね。