「面白い文章を書きたいけど、自分には文才がないから…」そう思っている方は非常にたくさんいると思います。
もちろん全国民を大笑いさせるような凄いネタを生み出して文章にして出版する!みたいな計画であれば、才能も必要になるでしょう。
しかし、単に自分のメールの購読者を楽しませる、などであればセンスも何も不要です。
では始めましょう。
まず、重要な事を言います。結構ショッキングかも知れませんが…
Contents
全て本当である必要は無いということを知る
文章を書くときに意外と重要な事が「全て真実である必要は無い」ということです。僕たちは義務教育を受けていますので、作文指導で「真実を書く」という理念をきっちりと教わっています。
確かに作文と言うものは真実に則り、原稿用紙に素直な感性が表現されていてこそ優秀という考えがあるからだと思います。そういう文章は事実の報告という側面を持っています。
だからと言って嘘をつけといっているわけではありません。嘘はバレますし、例えばステップメールの場合、商品を売るのが最終目的ですから、嘘は詐欺にも該当する可能性があります。
「ノンフィクション」と書くには厳密な事実である必要があります。
ただ僕たちがこうやって毎日すごしている日常は基本「退屈」です。奇想天外な事や奇跡的な事が頻繁におこればいいのでしょうが、そんな事は一生に2度3度程度。だから本当のことをそのまま書いても、退屈に拍車をかけるだけです。
読者を楽しませる事の出来る、読まれる文章というのは、
① 思いを伝えるもの
② エンターテイメントであること
③ 読者とのコミュニケーションであること
この3つです。
僕も常日頃、人のメールや原稿を読んでいますが、失礼ながら「面白くない記事だなぁ」「暇なメールだな」と思う事は多々あります。
そして、その文章が面白くない事の原因を辿っていくと「真実を書かなければいけない」という概念にとらわれすぎているのではないか?という一点に帰着します。
テレビ番組やお笑い芸人がする話を見てみてください。
話を聞いていると勢いで笑ってしまいますが、冷静に聞いてみると明らかに「脚色」されていることに気付くはずです。もちろん中には本当の事もあると思います。でもその多くはより面白くなるように要素が付け加えられています。
ある文章の先生が言われていたことに「そもそも文章を書くということは、脚色をするということだ」という言葉がありました。必ずしも全て本当の事を書く必要が無いという理由は他にもあります。
例えば、久しぶりにあった仲間とお酒を飲んでいても、その数時間は実に様々な事を考えるはず。
「かわってない」
「かわった」
「いいやつになった」
「一緒に いて疲れる」
「前はこんな事して遊んだな」
「白髪が増えたな」…
色んな事を考えると思いますが、事実を書くという事はこれらの思考、相手の反応、セリフなどを限りなく丁寧に書くということです。そんな事をすれば、原稿用紙数百枚はすぐにいきます。
もちろん、そんなことはできません。もし、日記にその時の出来事を書きつけるとすれば、それら無数の情報のうちのほんの一部を選ぶはずです。
でも、言い換えるならば、それ以外の事実は書かないわけで、それこそ事実を歪める事になってしまいます。
つまり「書く」ということは、様々な事実のうちの一部を切り取り、それ以外は捨てたり、もしくは簡略化して表現するということです。
そうすることで事実を定着化していきます。
また、それ以外の部分・経験は事実にならなかったとして「切り捨てる」ということになります。
文章と言うものは、結論を言えば事実をそのままに書くことなどほぼありえないと考えています。
セールスライティングであれば特に人の感情を揺さぶらなければいけませんから、読み手が直感で分かるように誇張したり、単純化したり、表現を工夫したり、面白い感想を加えたりしなければいけません。
そのように言葉をいじって楽しむのが、文章を書くという作業です。この作業を繰り返す事によって文章は始めて「面白い」文章になります。
文章を書くことは、事実をありのままに書くということではなく、すでに起こっている事実をすぐに文章に表すのではなく、切り貼りをして「伝えたいこと」を絞って、表現を変えたりしながら表すという作業の事を言います。
つまり、面白い事実を作り出すという作業と言ってもいいかもしれません。
面白い、つい読み進める文章の条件
ただ一点、誤解しないで欲しい事があります。それは、「面白い」とはふざけたり、駄洒落をいれたり、くだらない事を言葉にするなどのことではないということです。
なぜならそういう意味で楽しませるのはすごく難しいことです。読者は冷静な目であなたの文章を読んでいますから、ダジャレを入れればしらけてしまいます。
では、読み手が面白い、楽しんで読み進めていける文章を作るには一体どうすればいいでしょうか?
例えば、有名人の書いた本が頻繁にベストセラーになったりします。またはアイドルなどでも同じです。
「書いているその人」が読み手にとって関心・興味があれば「その人」が書いているどんな書き物でも読み進めます。
もし「その人」が大好きなアーティストや俳優・女優であれば、昨日何を食べたのか、いつもどんな服を着ているのか、どんな仕事をしているのか、または昨日どんな夢を見たか…などの内容を書くだけでも、多くの人が読み進めてくれます。
また、読み手が知らない情報が含まれているのも「面白い文章」になります。
「今度、あのお笑いコンビが自分の街にやってくる…」
「○○さんが離婚しそう。原因を突撃取材しました…」
「シンクロニシティ。あの事件が起こった時、世界でも同じ事があった…」
などというような裏話でも OK ですし、もちろん HOWTO 系の話でも OK です。
「お風呂場のウロコ汚れの落とし方」
「1週間で実際に5キロ落とした体験記」
「英会話上達法」
などの話も同じくOK。本屋で参考書やハウツー本がどんどん売れていくのはこれらの興味によって成り立っています。
さらに、読み手にはない体験が含まれている文章も面白くなります。
大変な目に遭った人の話、雪山で遭遇した、犯罪に巻き込まれた、CIAより捜査依頼が来た、北朝鮮に行った、幽霊スポットに行ってきた…など、これらの最初から興味深い話を入れると、多少書き手がヘタでも、文章は面白くなっていきます。
・「人」が興味深い
・自分のタメになる情報
・体験できない話
この3つの話はダントツに読まれます。
あなたがこの要素を持っている人であれば、面白い文章を作るのも比較的簡単。自分自らの体験を書き記していくことで、興味深い文章を書くことができます。
しかし、実際上記3つの要素を都合よく持ち合わせている可能性は非常に少ないと言えます。また、面白い文章を書くために、有名人になったり、新しい情報を仕入れたり、特異な体験をするわけにもいかないはずです。
ですから「この3つは読まれやすい」と踏まえた上で、他にどのような要素を入れれば読まれやすいのか?僕がまとめた要素を公開いたします。
読み手とは異なる意見や根拠を示している
これは誰もが当然と思っていることに反対する、誰もが絶対におかしいと言っている事に賛成する、といった文章の事です。
もちろんそれに説得力がなければたんなる天邪鬼にすぎませんが、説得力があれば「なるほど」と思ってもらう事が出来ます。
例えば、
「英語をマスターするにはリスニングは必要ない」
「海外に行くと英語は話せない」
「英語は2日で日常会話は話せる」
など。
これは当たり前と言われていることに反対した例です。
もちろん、真っ向から世間の常識に反対する必要はありませんし、一般的な意見と敵対する必要もありません。みんなと同じ意見であっても他の誰も言っていない根拠を示せば、それも一つの面白い文章になります。
この根拠についてはいくらでも探すことが出来ます。
しっかりと根拠を示すことで、それなりの説得力を持たせる事が出来ます。
政治や経済ばかりではなく、教育やスポーツなどに関しても同じ。
話をするテーマに対し、新しい意見を加える事で文章を面白くする事が出来ます。
読み手の気付かないところに人生を読む
普通の生活を送っている中でほとんどの人が見過ごしてしまいそうなことに目を向けて、そこに人生の学びや新しい発見を文字にしても面白い文章を作る事が出来ます。
多くの方が、時間が無いと忙しい人生を送っています。いや忙しい人さえも先入観などのために、あらためて客観的に物事を見ようとしません。
でも新鮮な目で周囲を見れば、
「ああ、こんなことが起こっている」、
「なるほど、そういう人生もあるわけか…」
と感じることもあります。
そう感じた瞬間、あなたの文章に興味を持つ人が一人増えるのです。
材料は無限にあります。家族との交流、会社、学校、近所の人々とのウワサ話、自然環境に触れたり、ペットとふれあっている中でも、見方を変えることで気付けることは本当にたくさんあるのです。
読み手が気付いていない指摘、疑問を文章に入れる
みんなが見たり、聞いたりしていたのに、見落としている。
そんな事を文章に入れると興味深いメールを作ることが出来ます。
例えば、
「日本の首相が何度も変わるのは政治家たちが一生懸命やっていないからだ、という事実はあるものの、それを選んだのは私たち国民だ。人の事を棚に上げて、一番高みの見物客で一番何もやっていないのは、誰であろう私たちではないだろうか?」 |
という具合です。
その他にも、
「あの時、あの人は赤い靴をはいていた」
「あのとき、その場に○○さんがいた」
というような話。特に分析を必要としないなんでもない疑問を示すだけでもいいです。
場合によっては、「答えはあなたの想像におまかせします」という流れにしても問題はありません。これも文章を面白くさせる一つの要素です。
特異な雰囲気をかもし出している
漫画や映画で、ストーリーが特別面白いわけでもなく、オチが面白いわけでもなく、ただ絵が魅力的、登場人物の顔が興味深くて人気を集めているものがたまにあります。文章についても、鋭い意見や感想はなくても、独特の表現や言葉遣い、行間の使い方、雰囲気の面白さで読ませる事が出来ます。
なんとなくたまに出てくるユーモアな言葉。比喩。感想。他の人が絶対に使わない表現。自分の文章に対するツッコミ。
これらは難易度の高いテクニックになりますが、読んで面白い文章であると言えます。
1.読み手とは異なる意見や根拠を示している
2.読み手の気付かないところに人生を読む
3.読み手が気付いていない指摘、疑問を文章に入れる
4.特異な雰囲気をかもし出している
これらの4つは最初にお話しした3つの特別な要素、
「有名」
「特別な情報」
「特別な体験」
が無くても読み手の心を動かすために使える文章のテーマです。
「へぇ、そんな意見があるのか、確かにその通りかも」
「そんな感じ方があるのか」
「新しいことを学べたなぁ」
「いい雰囲気を持ってる人だ」
などと思ってもらう事ができる文章、それに自分にも思い当たると思わせる文章、そういう文章が人を惹き付け、続きを読ませる事が出来ます。繰り返しますが、もちろん文章全体が人と全く違う意見や感想で固められている必要はありません。ほんの一部でもその人らしさ、他の人とは違った感覚が示されている事が重要です。
人は、時に自分の感性で感じることをやめてしまう傾向があります。まわりがそう言うからそれが正しいと信じ、みんなと同じように感じるようにする。実際にそんなわけはないのに、自分の感性回路をストップさせてしまう時があります。
そうだとすれば、自分自身の感覚で感じ、考える事を心がけ、それを書き文章にすれば、読む人はそこに新しい感覚を感じ、面白いと感じるはずです。何度も使われている感覚ではなく、自分らしい文章を作ってもらう事。それがこの項目的です。
自分らしく面白い文章を書くための5つの「個性」の作り方
では、具体的にどのようにすればありふれた感覚を捨てて、「自分らしい」文章 を書くことができると思いますか?
これは今までお話してきたように「自分らしい文章を書ける」=「才能」と思われていました。
でも実際はテクニックでカバーできるのです。
僕が今まで文章を書くときに実践してきたテクニックをお話ししましょう。
道徳的にしない
小学校、中学校、高校のころから指導されてきた影響だと思いますが、文章を書くと道徳的にしないとダメだと思っている人があまりにも多すぎる気がします。
例えば、
「今度は○○しようと思いました」
「反面教師として学びたいです」
「毎日朝6時に起きて…」
「人生では思いやりが大事です」
などと言う言葉、あなたも頻繁に目にしたのではないでしょうか?
ですが、正直これほどつまらない文章はありません。
僕たちは今まで耳にタコができるほど道徳的な話しを聞かされてきました。学生の頃から最も何度も聞かされてきた道徳的な話しです。人間は悪い一面も当然持っています。利己的な時もあります。嫉妬もするし、激しい欲望も野心も頂きます。
普通、こういったものをキチンと認識していたら、「道徳的」なことを書くつまらなさは誰でも理解出来る筈ですし、読み手は「つまらない」という感想を持つ所を飛び越えて「何だよこの偽善者は」と捉えてしまう可能性があります。
面白い文章というのは、自分の中の秘密の部分も、他人のなかの秘密の部分にも気付いている上で書く文章です。
自分の中にある「悪い心」にも自分で気付いていて、それを少し示してこそ魅力的な文章になります。(もちろんこの「悪い心」が読み手も共感できる内容じゃないと、読み手の気分を悪くさせるだけですが…)
文章を書く時には、悪い心をいれながらもそれに共感してもらうことが大切です。映画やテレビドラマの主人公も非の打ち所が無い人物だと面白いドラマにはなりません。どこか悪いところのある主人公をいかに魅力的に描くか…そこが脚本家、演出家の腕の見せ所だといえるのです。
一般的な考えを信じない
文章を書く時の一つのコツに、「みんながどう考えるかを想定して、それを否定意できないか考える」というものがあります。
ひねくれて世の中を見てみるということです。
みんなが「感じがよい」と言っている人に、実は嫌なところがありはしないか。
みんなから嫌われている人に、実は好ましいところがあったりしないか。
世間の常識をぶち壊すような意見を出せないか。
を考えてみましょう。
「その人らしさ」というものが一体どこから出てくるのか?それは持って生まれたままのではなく、他人からの影響で生まれたものです。そして別の価値観を知って、今までの価値観、考え方、感じ方を改め、自己の意識改革を繰り返し、新しい価値観を生むと思うのです。
それと同じように文章を書くということは、ある意味で、それまでの自分を否定して新しい自分の感覚を作り出すことです。それまでの自分とは違った自分、 一歩進んだ自分を見つける行為が書くという行為だと思っています。
ですから一般的な考え方を覆すことを「きたない手」などと思う必要は一切無く、書くという行為は、そもそも人と違う考えを見つけ出す行為だと言えます。
いかに「人と違う考え方を明示できるか」それが文章作成の一つのコツです。
全員に同意されること目的にしない
主観ではあるものの、ほとんどの人が間違っている気がしているのですが、多くの人に読んでもらう文章の場合、全員に共感してもらう必要は1mmもありません。
あなたの文章を読んで、百人みんなが同意するような事を書いても読んだ人は面白いとは思ってくれないのです。そんな文章はみんなが言っていることです。
当たり前の事だから、「別にあなたじゃなくてもいい」ということ。人と違った文章というのは、みんなが賛成するとは限らない文章のことです。一部の人に、あるいは多くの人に、
「そんなことはありえない」
「そんな事は許せない」
と思われるような文章は、反対に一部の人にグッと好かれます。
「誰にでも好かれる」ということは、「誰かに強烈に好かれることはない」ということです。魅力的なタレントも全員に好かれているという人がいないのと同じです。
今でこそ北野武(ビートたけし)氏は好かれているタレントの一人かもしれませんが、昔はそこらじゅうから批判を受けて目障りな存在として扱われていたことは、あなたも知っているはずです。誰からも好かれているということは、個性がなく、どうでもいい存在だということです。
だから、全員に好かれる、賛成されるようなことを初めから書こうとしてはいけません。
極論をいえば、初めから敵を決めて、そうした人々を怒らせるようなことを書くのも一つの方法です。
書くというのは「ある立場を鮮明に打ち出す」ということですから、ある人々を敵にまわすということでもあるのです。
批判される、けなされる、反対されるというのは、逆に考えればそれはとても名誉な事なのです。そういう批判的な意見が出なければ、褒められ続けるのであれば、「別に私じゃなくてもいい」という事になります。
批判、反対、けなされるは、「意味がある」と考えて文章の執筆を行うべきだと考えます。
全部を書かずに、一つに絞って書く
何かを書くとき、全部を書こうとしないことも大事な点です。
日常的な場面を思い浮かべて欲しいのですが、子供に説教するのに「あしたから、遅刻をしないで、忘れ物をしないように、部屋の掃除もして、風呂にも時間通りはいって、歯を磨いて、長電話しないで…」と全てまとめて言っても子供にはうまく伝わらないと思います。
「明日からは絶対に遅刻をしないようにしなさい」と一つの物事を分かりやすく言ってこそ、子供には大きなインパクトを与えることができるのです。
それと同じように、あれもこれも言おうとすると、水増しされた分一つ一つの言葉のインパクトが薄れ、まとまりがなくなり、はっきりしない文章を作る事になります。
それより、一番言いたいことを一つに絞って詳しく説明するべきです。それが文章にインパクト持たせる方法です。
自分の立場をはっきりさせる
人と違った文章を書くには、自分の立場を明確にすることも大切です。
ものごとを客観的に見ようとすると、様々な面があるために何も言えなくなってしまうことがあります。でも新聞記事を書いている人間でなければ、必ずしも物事を客観的にとらえる必要はありません。
自分の立場から意見を言えばいいと思っています。
そもそも、ものごとを客観的に捉える事は難しいですし、そこを客観的にしてしまうと、一気につまらない文章を作成することになります。
それよりは自分の立場から見て、自分の立場を鮮明にする方がいいと考えて下さい。例えば主婦の視点や地方に住む人の視点。あるいは反アメリカなどの視点から考えるなど…そうすることで人と違う意見を示すことが出来ます。
その出来事が自分にとってどのような影響を及ぼすのかを中心に考えて自分の立場を鮮明にすると「面白い文章」を作る事が出来ます。
まとめ
さて、いかがでしたか?
1.道徳的にしない
2.一般的な考えを信じない
3.全員に同意されること目的にしない
4.全部を書かずに、一つに絞って書く
5.自分の立場をはっきりさせる
今まで5つのポイントについてお話をしてきましたが、これらを意識しながら文章を書くことで今までよりも何倍も面白い文章を作る事が出来るでしょう。
是非参考にして下さいね。それでは!